鈑金作業(フェンダーFR) 【セリカ1600GT-第4回】

いよいよ鈑金作業に入ります。
フェンダー部分の作業をしていくようです。

「はいはい、錆びているところは切り取りますよ~。」

一体、切り取ってどうするというのでしょう?

修理が必要な部分は多数ありますが、今回は説明の意味も含め
フェンダーの修理を中心にお話ししたいと思います。
その話の中で新明のこだわりをほんの少しだけお見せしたいと思います。

前回剥離を終えたフェンダー。
まずはこの前側の鈑金修理から入ります。

「ボデーを鈑金製作して直します」と聞けば
フェンダー等パネルを丸々作ることを想像される方が多いのでははないでしょうか。

実は、腐食してダメな部分を製作し交換することを指します。(部品の大きさや程度にもよりますが)

さて、ここで冒頭でお話しした新明のレストアチームのこだわりをお伝えします。

・・・それは 「出来る限り鉄で治す」ということです。

ただ直すにも色々なやり方があります、でもちゃんと長持ちする直し方でないと修理したとは言えません。

まず治具を作成します。
これはゲージとも呼びますがきちんと元の形状が再現できているか確認するためのものです。

現物にあてがうと…ぴったりはまりました。
この写真のようにピッタリ合うようにパネルを作っていくのです。

先程の冶具に合せながら磯西さんの手によりパネルが製作されていきます。
まずは出来上がったフロント部分からくっつけていきます。

仮付けされたFR部分、いい感じです。

本付けのTIG溶接をカズキが行います。慣れた手つきで溶接していきます。
TIG溶接はパネルへの熱の広がりが少なくひずみを発生させにくいので後処理が楽です。

お次はこのフェンダーのRR部分も同じように作成していきます。

車体に取り付けたときにどうなっているのか…完成後が気になりますね。

小話

新明のレストアには新明の技術、誇りが詰まっています。

「冶具を製作パネルにあて、合うように整形すれば良いだけ・・・。」に聞こえますが、
これが中々簡単なことではありません。とても難しく経験のいる作業です。
(ご存じの方も見えるとは思いますが)
曲げる順番、曲面のつけ方など作業者により整形にはやり方仕方は色々ありますが新明にはこれができる人が居ます。

ほとんど部品交換のみで車が治ってしまう現代にこれが出来る技量を持つ職人は少なくなりました。
錆び穴に裏からアルミテープを張り、表からパテを塗るのみという修理を多く見ました。
(これには修理費用や時間など、修理者側のみの問題ではありませんが、悲しいことです。)

それでも出来上がりの見た目に差はありません。その差は納車した後に出るものです。
お客様の許しがある範囲で出来る限りのことを考え実践する。
それが新明のこだわり「出来る限り鉄で治す」という意味なのです。

続く