分解(ライト類・車内)【伊豆の踊子号-第3回】

「逆に新鮮だなぁ…」

昔は当たり前だった、しかし今ではこういった造りをしない。
…分解が進むほどにそういった歴史を感じました。

昔はこれでよかったんだ…と思ってしまうくらい水漏れや防錆への対策は
現代とは比べ物にならない程手薄に感じますが、大切に手入れして使えば60年持つんですねぇ。

さて、そんなことを思わせてくれた作業風景を見て頂きましょう。
今回は伊豆の踊子号に乗ったことのある方なら目にしたことがある場所をメインにやっていきます。


早速分解に移ります。
ライト類を車体から取り外していきましょう。

まずはヘッドランプの目もまゆげも取り外していきます。

テールランプもこの通りぽっかり穴が開きました。
この黒い部分、防水の為に使われていた粘着質のゴム(ブチルテープ)だそうです。
しっかり対策がされていたんですね…こういったことの積み重ねが車を保っているんですね。

いろいろ取り外した後、遠目に見てみると…殺風景というか…。
特にこの分解途中のフロント周り、別の車かと思うくらい顔の印象が違います。
綺麗な姿になるのが待ち遠しいですね。

座席横の巻き取り式カーテンも分解。
これだけ見てもカーテンとは分かりにくいですが、車窓横にあるカーテンの中ってこんな感じなんですね。
カバーを外すと錆びや結構目立つ塗装の剥がれが見られます。

窓のサッシを外していきます。外すと錆が露わになりました。
ここまで錆びている部分もあるとは…この車の歴史をひしひしと感じます。

座席も取り外しましょう。
非常口近くの座席下にはタイヤを外す道具やタイヤチェーンが入っていました。

さてこの非常口、外からも中からも比較的綺麗に見えますが…

開けて見てみると錆だらけです。
きっと開かずの扉になっていたんでしょう…。
(非常口というくらいなので開く機会がなかったことはいいことかもしれませんね。)

そして通常は非常口が開くとブザーが鳴りますが…なぜでしょう、音がしません。

このカバーを開けてみるとこれまたサビサビの非常ベルが。
どうやら線が繋がっていないので鳴らなかったようです。

運転席上部のこの扉を開けると中に「伊豆の踊子号」と書かれたあんどんがあるので取り出します。
なかなかこんな裏側を見ることってないですよね~。

取り出したあんどん。取り付けられていた時はあまり気にならないのですが
こうしてみると少々汚れてしまっています。
ですがこのバスを見た時に目に入る、いわば「名札」なので綺麗にしてあげたいところです。

こういったかんじでよくよく見ていくと老朽しているところが見えてきました。
今まで60年近く活躍してきた伊豆の踊子号ですが、今後も新たな歴史を刻んでいくためにも
お客様に喜んでいただける綺麗な車内にしていきたいですね。


今回は車内メインの分解作業でした。

次回はラジエータやブレーキのあたりを見ていきましょう。
なかなか見る機会がない部分をお見せできるのではないかと思います。


…続く